畳でわかる島津家の歴史

2023年11月15日

住宅建築において基準になるものの一つが尺基準だろう。

 

江戸間や京間や関東間や狭間などお聞きになったことがあるでしょう。

 

我々住宅や不動産に関わる者が住宅の大きさを見る際には畳の大きさや外から柱の位置などを参考にする。壁の厚みなども考慮して家のサイズを調べることがあるのですが「壁芯」やマンションなどのような区分所有建物の場合は壁を除いた広さで考える。一般的には一間(いっけん)は1800mmで半間(はんげん)は900mmです。既存住宅などから図面に起こす場合はその住宅の基準が1800なのか1900なのかを先ず知らべるのです。

 

それさえ分れば部屋を大まかに拾い出し図面に落としやすいのです。

 

ところが鹿児島市吉野町(磯の)の仙厳園の島津家別邸は私の常識を覆してしまった。東西方向でも南北方向でも尺基準が混在しているのです。

 

東西と南北が違うのではない。東西でも場所によって違うのです。図面に起こす際は全体の輪郭を考慮して作図する方式が楽ですが(管理人は)この御殿は家の片端から補助線を入れながら書き足していく必要がありそうだ。

 

現場の調査も足を運び尺基準という常識を捨てて挑む必要がありそうだ。その理由を考えてみた。部屋数が分らないほどあります。小さなものまで数えると30以上それに二階もあるということを知っている人は鹿児島の人でも少ないかも知れません。

 

現在有料開放しているものは一部なのです。つまり増築して増築して増築した結果かもしれません。どうも移築もしたのかも知れませんがそれは今後調べてみます。

 

同時代に増築すればこれほど基準が異なることは無いのかも知れないが江戸末期から明治までに何回も行ったのでしょう。全体に影響しない建築なので自分の得意な基準で造ったとしか思えません。

 

畳の大きさだけでも次回に行った時には注意して観察すれば興味が深まるかもしれませんよ。それと外から屋根の様子もきっと疑問が深まり島津家の当時の奥深さを知ることができるかも知れませんね。